ZARD の坂井泉水さんが亡くなったのは、5月27日のことだそうです。もう40日くらい前のことなのですね。
ZARD の曲は、ああこの歌知ってる聞いたことある、というものが多いのですが、なかでも、わたしにはただひとつだけ、ただワンフレーズだけ、ふと思い出し、歌っているものがあります。時々ふと思い出し、くちずさんでいるのです。
君と僕との間に 永遠は見えるのかな
「永遠」という曲のサビの部分です。全体の歌詞は知りません。
◆
永遠という言葉は、わかるようなわからないような、いや、やっぱりわからないよな、という言葉です。無限という言葉なんかと、同じような感じで。
しかしわたしは或るひとつの結論を持っていて、それは、永遠というのは、一瞬のことなのだ、ということ。
たとえば、出会いの瞬間のことです。
出会いとは、同じ空間に初めて居合わせた、というものを今は指してはいません。
出会いというのは、心が通じ合った瞬間のこと。私の気持ちをあなたが理解し、受け止める。そして私は、自分の気持ちをあなたが知って、受け止めてくれたのだと気付いている。そういう瞬間です。
あれが、永遠ではないだろうか。
本や映画との出会いや、自分の心のなかだけで得た出会い、誰かとのではなくて誰かの言葉との出会いなどなど、一方的なものもあるだろうと思いますから、説明が決して足りてはいないのですが、ここは最小限にします。つまり、ただの一例です。
目があった瞬間です。自分の存在と或る一人の他者の存在が、静かにはっきりと対峙したときのこと。そしてそれは、冷たい瞬間ではありません。微かであれ熱を持った、信頼のやり取りの瞬間のことです。
◆
君と僕との間に 永遠は見えるのかな
大好きな人はいますか?
その人と、いつ会いたくなりますか? 朝も昼も夜もですか?
永遠が、もしまだなら、見えるといいですね。
◆
入院していたときに、わたしもまた早起きで、扉が開かれる時刻になるとすぐに靴に履き替えて、お気に入りの場所まで歩きました。
待宵草が花をつけて、風に揺れている場所でした。その場所で、毎朝、小さな声で歌をうたいました。
坂井さんが、亡くなってしまったその場所で、わたしと同じように早起きして、大好きな景色を眺め、歌をくちずさんでいたのかなと思ったら、突如として、彼女をちかしく思う自分になっていました。